昔ならともかく、今の時代に、北朝鮮も中国も含めてどこかの国が大義名分もないのに大っぴらに日本を攻めてくるということはありえません。
そんなことしたら、世界中から非難され、制裁を受け、最悪の場合、下手をすれば自国を滅ぼされかねないので、そういう割の合わないことを大っぴらにする国はありません。
北朝鮮や中国が攻めてくるとしたら、そのためには少なくとも攻撃を正当化する理由=大義名分が必要です。自分が日本に先に攻められたとか、自分にとって日本が大きな軍事的脅威になったとか、そういう大義名分が・・・。
日本が憲法を変えて戦争できる国になってアメリカと軍事的にツルみ出したら、その方がはるかに、中国や北朝鮮は軍事的脅威を感じ、それを理由に、彼らに何らかの大義名分を与えることになりかねません。
軍隊を持たず、海外に出ることができず自衛に徹する自衛隊しか持たない今の日本に対しては、北朝鮮や中国も含めて、いかなる国も攻撃を正当化する理由=大義名分を得ることはできません。
つまり、軍隊を持たないことがもっとも現実的でパワフルな自衛・防衛の手段になっているのです。
それこそが、今の日本国憲法制定作業時の総理大臣だった幣原喜重郎によるマッカーサー元帥への「戦力不保持を新しい憲法に入れましょうという提案」に代表・象徴される、悲惨な第二次大戦と広島・長崎の原爆投下を経験した日本人の大いなる知恵なのです。(この点について詳しく知りたい方はここから「投票所で迷わない、憲法国民投票のツボ」PART4抜粋版PDFをダウンロードして読んでみて下さ」)
自衛隊を海外に出て戦争できる軍隊にしたら、それによって相手に大義名分を与えて攻められる結果にもなりかねません。そっちの方がよっぽど愚かな選択なのではないでしょうか?
また、これも見落としてはいけないポイントですが、
古今東西、国家は自国の利益を最優先で行動するものです。
現在でもアメリカ、中国についで世界第三位の経済力を持つ日本が北朝鮮や中国の支配下に下ったら、オセロゲームで白が黒に大量にひっくりかえされるように、アメリカにとってとんでもなく不利なことになるでしょう。
そういう事態を避けるために、たとえ日本がアメリカの戦争に協力しない国であっても、アメリカは自分の利益のために、日本が北朝鮮や中国の支配下に下らないように行動し、結果として日本を守る行動をとるでしょう。
それが、難しい言葉で言えば、国際政治の力学、バランス・オブ・パワーというものなのです。