9条自衛隊明記のカラクリの詳しい説明


2017年の6月22日、自民党の、新設条文である9条の2(=9条自衛隊明記)の具体的なたたき台が、毎日新聞などで報道されました。それは次のような条文です:

 

9条の2 前条の規定は、我が国を防衛するための必要最小限度の実力組織として自衛隊を設けることを妨げるものと解釈してはならない。
2 内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有し、自衛隊はその行動について国会の承認その他の民主的統制に服する。

 

わざとわかりにくい表現にしていますが、これは超とんでもない条文です。

 

今の9条には「戦争は放棄します」(9条1項の戦争放棄)「軍隊を持ちません」(9条2項の戦力不保持)と書かれています。

 

「軍隊を持ちません」なのだから「当然、国の外に行って戦争をしません」ということになります。

 

「戦争を放棄します」「軍隊を持ちません」「当然、国の外へ行って戦争をしません」

 

この3つが『前条の規定』だと理解して下さい。

 

ところが、自民党のたたき台には、

 

「戦争は放棄する、軍隊を持たない、国の外へ行って戦争をしない、という前条の規定」は「我が国を防衛するための必要最小限度の実力組織として自衛隊を設けること」を「妨げるものと解釈してはならない」

 

と書いてあります。

 

わかりやすく言えば、

 

【「戦争を放棄します」「軍隊を持ちません」「当然、国の外へ行って戦争をしません」

というルールは自衛隊には適用されない】

 

と書いてあるのです。

 

もっとわかりやすく言い換えれば、

 

【憲法上、自衛隊という名前の、国の外で戦争できる軍隊を日本は持っていい。もちろん、海外で戦争していい。その場合先制攻撃も、侵略戦争もしていい】

 

と書いてあることになります。

 

(なお、自衛隊は今でも「必要最小限度しか武器を持てない」と決められているのに、2016年の世界最強の軍隊ベスト20によれば、世界第4位の軍隊です。何が「必要最小限度」かは政府が自由に決められるということを忘れてはいけません。政府が「これが最小限度です」と言ってしまえば、攻撃ミサイルでも核兵器でも何でも、武器の種類も数量も無制限に持つことが可能なのです。)

 

9条の2の2によれば、総理大臣は自衛隊という名の軍隊の最高司令官になります。

 

彼が戦争を始めたいと思ったら、イエスマンが対多数を占める国会は承認しないわけがありません。

 

万一国会が反対しても総理が戦争を初めてしまった場合はもう誰も止められません。

 

理屈の上では止められる可能性があるとしたら裁判所しかないのですが、今までの例から言っても、最高裁判所は、こういう問題について判断しません。判断しないということは止められないということです。

 

戦争はお金がとってもかかります

国民の犠牲も出さざるを得ません。

だから、アメリカは戦争の費用と犠牲を日本に肩代わりさせたいと考えています。

 

「9条自衛隊明記を憲法に加えることによって安倍総理たちは、アメリカの要望に応じてアメリカの下請けとして戦争できる国にしようとしている」

 

そういう解説があります。

それは確かに間違いではありません。9条自衛隊明記が正式な憲法になれば、アメリカの下請け戦争を日本は憲法上行うことができるようになります。

 

しかし、上に解説したように、この自民党のたたき台の9条自衛隊明記は、そういう下請け戦争はもちろん、侵略戦争も含めてどんな戦争でもOKという、超とんでもない黒魔術の杖なのです。

 

日本のような大国がそういう憲法を持つようになったら、世界からアブナい国扱いされることは疑いないでしょう。

 

世界から信頼されなくなってしまうということです。

 

軍隊を持たず、戦争をしない国だからこそ信頼され、戦争のない世界の実現を望んでいる世界の人たちの希望の星だったのに・・・。

 

国民投票の結果、緊急事態条項、9条自衛隊明記、二つの黒魔術の杖が憲法になったら、民主主義も平和主義も完全に葬り去られ、

 

自由、平等、平和の根っこは断たれ、みんなの自由も人権もないがしろにされ、国民みんなが戦争に巻き込まれる危険が日常化することになるでしょう。

 

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